ビジネスを構造から変革する、ビジネスモデルイノベーションを学んだ

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photo credit: szwerink via photopin cc

すでに良いものを作れば売れる時代は終わっています。
ビジネス自体が多様化しており、様々なニーズがあることもそうですが、クライアントが気づいていなかった問題や、あきらめていた問題を解決させるビジネスこそが、売れる時代になっています。

僕が属している情報サービス産業では、これまでは受託業務中心に顧客のニーズにマッチするシステムを作るのが生業でした。
しかしながら、クライアントは自分たちの要求が100%満たされた業務システムを、急速に捨ててつつあります。
インフラではクラウドを利用し、ソフトウェアはASPサービスを利用するケースがどんどん増えています。

さらにはタブレットの普及により、仕事の仕方自体も変わってきています。
クライアントの求める価値が、どこにあるのかを的確に見極め、どう作っていくか、が今後生き残っていくための考え方のひとつであると思います。

システムエンジニアやプログラマにとっても、言われたことだけきっちりやれば良いというニーズはもう、社内にも社外にもありません。
新たなサービスを考えるための基礎知識として、ビジネスモデルを作るための方法論を学ぶために、今回参加させていただいたのは、翔泳社と日立製作所の共同セミナーとして開催された、「企業内イノベーターのための事業創出のためのセミナー ビジネスモデルHacks!」。

2時間という短時間に、初めの一歩となる以下の要素について小山龍介さんにご紹介いただきました。

  • ビジネスモデル イノベーションとは
  • イノベーションを起こすには?
  • サイエンス思考とアート思考
  • ビジネスモデル・キャンパスの描き方

ビジネスモデル イノベーションとは

過去には、製品を作る際の工程を改善することで、他社よりも低価格高品質な製品を提供することのできたプロセス・イノベーションや、製品自体の価値が高いものを提供することのできたプロダクト・イノベーションがありました。

しかしながら、そのニーズから製品とサービスを組み合わせることでビジネスを成功させるビジネスモデル・イノベーションの時代になってきており、ビジネスモデルのレベルで他社に勝っていかないとビジネスとして成り立たない時代になっています。

顧客の問題を解決するには、ビジネスモデル自体を新規に作り出す、あるいは再構築して提案するビジネスモデル・イノベーションを売っていかなければ、生き残っていくことは難しいでしょう。

イノベーションを起こすには?

良い製品を売れば良い時代には、高品質なものあるいは同じ価値であれば低価格な製品を作ればビジネスとして成り立っていました。
しかしながら、顧客の問題を解決するためには 事業全体の構造の把握が必要です。
事業全体の構造を把握し、そこに手を入れていくことによって初めてイノベーションは起こります。

どのような価値をどのような構造で提供するかを表現するためのツールとしてビジネスモデルキャンバスがあります。
ビジネスモデルキャンバス上でビジネスモデルの枠組みの設計(構造設計)を行い、構造の把握を行うことが肝要です。

ただしこの構造設計ができただけでは、現在のビジネスモデルの全体を見られるようになっただけで、イノベーションは起こりません。
ビジネスモデルキャンバス上で表現された要素に大胆な変革を起こすのです。

サイエンス思考とアート思考

サイエンス思考とは、どうやれば同じものが作れるのか、過去どういうことがあったかを分析し、ひとつの正解を導く思考です。
逆に、アート思考とは、1回限りの物として、多くの仮説を作り出す思考です。

ビジネスモデルイノベーションを起こすには、ビジネスモデルキャンバス上に表現された構造をアート思考で要素を置き換えて、多くの仮説を立てて検証していくことが必要です。
ビジネスモデルキャンバス上の要素はそれぞれに依存しており、調和を保つ必要があります。

まとめ

イノベーションは過去の繰り返しの中から生まれる物ではありません。
不確実性からイノベーションは生まれ、一回性の現象でインパクトが大きいのです。

システムエンジニアとして長年従事してきた僕には、180度考え方を転換させる必要のあることに気づかされた有意義なセミナーでした。
これまでに、いろいろな業務改善を行ってきましたが、それらはいずれも過去の経験に裏打ちされたリスク回避の手法でした。
今後必要となる イノベーションのアプローチは、想定外の仮説を多く立て、アート思考で考えなければなりません。

今回のセミナーを踏まえ、まずは現在のビジネスモデルをビジネスモデルキャンバスに描き、そこに多くの仮説を落とし込むことを繰り返しやってみようと思います。

何か新しいことをはじめたい、今と違うことをやってみたいと思っている方、一度ビジネスモデルを実際に手を動かして、表現してみてはいかがでしょうか。

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