「第一線のプロがホンネで教える 超実践的Webディレクターの教科書」を読みました。
僕は普段業務パッケージのプロジェクトマネージャなので、多少毛色は違うのかなとも思いましたが実は、ディレクションをするという意味ではほぼ変わらず、大変参考になりました。
本書の中では、依頼者の要望を取りまとめるところからサイトリリース後のレビューまで、ディレクションとはどうあるべきかという考え方の根本的なところがまとめられています。
その中でも、特に参考にしたいシチュエーション・ノウハウを3つご紹介します。
第一線のプロがホンネで教える 超実践的 Webディレクターの教科書 | ||||
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目次
超実践的Webディレクターの教科書 – リアルな空気感がびんびん伝わる!
成果物の出来が自分が想定しているレベルに到達しない
- アウトプットの品質が低く、ディレクション段階で意図していた物が仕上がってこない
- 制作スタッフ側から「決まっていないものは作れない」スタンスで責められる
- 「もっとこうして欲しい」という要望を出してもいろいろ理由をつけて通らない
(24ページ)
作業の指示をする側と、実際に手を動かす側の意思疎通がうまくいっていない場合のケースです。
仕様を詰める段階でこうなって欲しいというレベルを明示しなければならないのと、スタッフ側がそれに応じることができるだけのスキルが必要となります。
ディレクション側は、なぜそれが必要なのかという目的とこのレベルの物を作って欲しいという期待値を明示してあとはひたすら鼓舞する必要があります。
僕の場合、要件を詰める段階では、これができれば利用者がこんなに喜んでくれるはずと言う妄想を共有することが多いですね。
設計や実装段階では、スケジュールに遅れが出てきた場合は譲れるところと譲れないところを明確にして、ボリュームを調整しています。
「伝えたつもり」と「わかったつもり」
ありがちな失敗が「お客様は神様ではない」ということを忘れてしまうことです。
依頼者は、クライアント企業の担当であろうと自社の上司であろうと、ほぼ「自分ではすべてを考えられない、または対応できない」からこそプロを頼り、そしてディレクターを頼ってきています。
(80ページ)
受託開発で良くありがちなのが、お客様の意見を100%取り入れたシステムにすればそれで100点だと思っていることです。
よくありがちなのが、専門用語を使って会話をし、仕様書に合意事項としてすべてを記述することで保険をかけ、あとで依頼者が「これは?」と聞いても「仕様書にないので追加費用かかります」というケース。
受託側の上司から見れば、しっかり管理している良いディレクターと思われるかも知れませんね。
でも結局、相手の意思をくみ取れていないことには変わりないです。
それを避けるための意思疎通の手段が、深掘り。
依頼者からアウトプットが得られたら、それを自分の言葉で置き換えて、そのリアクションを見るというやり方です。
運用での改善は、「こんなサービスではダメだ!」と決めつける
一度作ったシステムは、運用していくとだんだん慣れてきます。
絶対にNGなのは「良いサイトだと思うんだけどなー」というスタンスで臨んでしまうこと。
このスタンスで入ってしまうとあらゆる選択肢が狭まってしまい、ものすごく小手先の施策しか思いつかなくなってしまいます。
(172ページ)
これ、一度やってしまうと甘い蜜になりやがて、逃げ口上の十八番になってしまいます。
今僕がメンテナンスをしているパッケージシステムがまさにこの状態になって、もはや後戻りできないところまで来ている気がします。
まとめ
本書のタイトルどおり、内容はヒアリング段階から運用フェーズまでいくつものケーススタディがあり、この1冊でディレクターとしての基本的な考え方を習得することができると思いました。
特に受託開発しかしてこなかったようなエンジニアには、是非読んでいただきたい1冊です。
今回ご紹介した本は、こちらからチェックできます。
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