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私が仕事術やライフハックなど、仕事の最適化に取り組み始めたのが、30代手前のころ。
その頃に本書の著者である吉越さんは、トリンプ・インターナショナル・ジャパンの社長としてメディアに数多く出演されていたことを記憶しています。
その吉越さんが紹介されていた仕事術のうち、自分でできることとして取り入れたのが「がんばるタイム」と「ノー残業」でした。
当時は、残業でどれだけ同期と差がつけられるかが出世の鍵、というような風潮でした。
そんな中での「ノー残業」は衝撃的なキーワードだったと感じています。
それがもはや今では、企業の中にも「ノー残業デー」が普及していると思います。
本書は、その吉越さんが定義する「いい社長=業績を上げ続けることができる人」になるための、ご自身の体験を元にした1冊です。
社長だけに読ませるのはもったいない1冊
本書のタイトルは『社長の掟』
私のようなサラリーマンはともすれば、スルーしがちなタイトルです。
しかし、読み始めてすぐその印象はなくなりました。
「自分の力では変えられないもの」を言い訳として口にした時点で、その人は社長失格なのである。
変えられないものは変えられないものとして受け止め、そのうえで自分に何ができるのか、どんなやり方ができるのかを一生懸命考えることが肝心だ。
普段プロジェクトマネジメントで心がけていることが、「はじめに」で書かれており、いきなり鷲掴みにされました。
プロジェクトマネジメントのなかの重要なタスクの一つとして、リスク管理がありますが、この一言が真理だと思っています。
前半では会社をどう回すか、後半では社長の心構えが書かれています。
私は、それぞれチームをどう回すか、プロジェクトマネジャーの心構えと置き換えて、本書を読み進めました。
社長じゃなくても実践できる組織作り
本書で紹介されている60の法則のうち、自分でも実践したいと思った組織作りに関するルールは以下です。
- 情報を独占せず、社員と共有
- 計画よりも徹底的に実行
- 目の前にアメをぶら下げるのではなく、チームワークで結果を引き出す
- 仕事のやり方は任せて、結果で判断する
- 第三者の目線を持つ
- 6割で着手し、ゴールを目指す
- ひとまとめにせず、小さな判断を繰り返す
実践できているものもありますが、できないことでも意識しているうちに実践できるようになるものです。
本書で強く紹介されていることはデッドラインを設けることは、すでに最優先すべき事として実践し、チーム内にも深く浸透できていると思っています。
一方で、残念ながら私が従事しているIT業界(Web系ではなく法人向けの情報システム系)では、情報や技術は個人の立場を守る資産であるという風潮があり、共有化はできていないと感じています。
新しい何かをしようとしても先例がないと言うだけで、ストップがかかることもしばしば。
しかもそれがクライアントからではなく、自社の上層部からなのです。
たしかに、その進め方には過去の失敗事例から学んでリスクを減らせると言う側面もありますが、あまりにもスピード感がなさ過ぎます。
本書に出会えたことで、もう一度信念を持って見切り発車で仕事を進めてみようと思いました。
まとめ
本書の終盤で、幻冬舎の創業者 見城徹氏の座右の銘が紹介されていました。
「人は、これほどの努力を運と呼ぶ」
私は残念ながら、まだまだ誇りとなるような努力をしているとはいえません。
デッドラインを設け、やり遂げるまで実行することが成功する手段であると意識し、日々の仕事や人生の目標に向かって進んでいきたいと思います。
本書は、「社長は、・・・」という見出しで社長の掟として法則が紹介されていますが、どんな人にも通じる仕事への向き合い方が 60個にまとめられています。
社長であればこの60個はすぐに実践すべき掟ですが、サラリーマンじゃなくても部下を持つような人にはオススメできる1冊です。