文章は伝わらなければ意味が無い!-「伝わる文章を書く技術」by 印南 敦史

20150506 - 1

サラリーマンは、文章を書いて情報発信するケースが多い。
顧客にメールを送信したり、社内に企画書や報告書を提出しない人はいないだろう。

書き上げた文章を、送信あるいは提出する前に読み返さない人もいないと思う。
その際、誤字脱字がないかとか、宛先などの記載ミスがないか、という
体裁だけ気にしていないだろうか?

それだけでは不十分なのである。

 

読み返すときには
「自分の言いたいことだけを書いていないだろうか?」
と言うことを、強く意識して確認する必要がある。

特に顧客にメールを出すときには、相手が受け取った気持ちになって
読み返す事が重要である。
なぜなら、送った相手がその文章をどう受け取るかで、
その後のビジネスの進め方がまったく違うからである。

相手がいる以上、こちらの要求だけを突きつけたり、相手の要求を突っぱねたりすると、
とたんに空気が悪くなる。

こういうときに、相手の立場を踏まえつつ、どれだけグレーゾーン(許容できる緩衝域)を
作れるのか、が大事なのである。

そんなの分かっていると思うなかれ、
少なくとも私が従事しているシステムエンジニアの中では、
できていない人の方が多い。

その要因の一つが、ビジネスセミナーやマナー研修の類いでは、
「こちらの意思をはっきり伝えることができる文章にしましょう」とか
「要求を明確にしましょう」
などと教わったからだ。

そして、システムエンジニアは、要件に無いことは「やらない」と教育されており、
【書いていれば】「伝わらなくても問題ない」からである。

文章は「伝える」ために書くのではなく、「伝わる」ために書くのが本来の目的なのに。

 

本書は、私がRSSに登録して毎日購読しているライフハッカーの人気書評家、印南さんが書かれた一冊である。

ライフハッカーの書評を読むと、その紹介された本が読みたくなり、何冊も手に取ってきた。
そんな日頃慣れ親しんだ文章の書き手である、プロ書評家の印南さんがその書く技術をまとめた本だから、読まないという理由は無い。

文章を書くことに、少しでも構えてしまうような人や、日頃あまり文章を書かない人にも特にオススメできる1冊だったので、紹介したいと思う。

 

印南 敦史 KADOKAWA/中経出版 2014-11-27
売り上げランキング : 58040

by ヨメレバ

 
 

伝わる文章を書く技術

読み手の視点に立つ

個人の日記ならともかく、メールや報告書を書くからにはそれを読む相手が必ずいる。

まず「誰が読むのか」「誰に読んでほしいのか」をはっきりと意識すること。
つまりはターゲットを見極めることです。
書籍であろうが、企画書であろうが、社内的なメッセージやメールであろうが、読み手がいる以上はすべて同じ事が言えます。

 

ターゲットを絞ることで、伝えたいことも変わってくる。
分かりやすい状況だと、たとえば、パソコンの操作方法を電話で説明する場合

  • この人は、ITのスキルが高そうだから、難解な単語を使ったとしても、
    技術的な説明をしたほうが伝わる
  • この人は、操作がわからないだけなので、使い方さえ説明すれば納得してくれる

と言うように使い分けができる。

この使い分けができないと、使えないヤツと思われたり、
何言ってるか分からないから上司に代われ、というクレームになってしまうのだ。

刺さるを考える

たとえば、企画書を書く場合。
社内の企画書であれば、共通のフォーマットを使うことも多いだろう。
企画の背景から始まり、問題点→企画概要→詳細→予算というストーリーも共通である。

そのようなときによくないのが、
「こちら側の意図を汲んで欲しい」という書き方であったり、
「隅から隅までじっくり読めば価値が伝わるはず」と言う書き方である。

読み手に興味を持ってもらうにはどうすれば良いのか?

これはインターネット上で書評を展開する印南さんが、本書の中で明確に提示されている。

「刺さる」なにか、つまり「フック」を用意することです。

ウェブメディアの場合、それは「タイトル」あるいは最初の数十文字になければならない。
そのわずかな部分で「読んでみたい」とユーザーに思わせなければ、アクセスを稼ぐことができないのである。

さらに、文章の中に「フック」を盛り込むことで、読者にその先も読みたいという刺激を
持たせ続けることができるが、印南さんはこうも注意を促しており、
これは特に気をつけたいと思った。

「こういうフレーズを使って読者を引き寄せようという魂胆がミエミエだな」届く社が感じてしまうとしたら、それは失敗ですし、避けるべきです。
そういうミスをしないためにも、一度書いたものを見直して、
「わざとらしくないか」「”狙った感”が出ていないか」を読者の視点で見極めることが大切なのです。

企画書を書いていて、最近特に気をつけているのが、その見せる相手が
どういうところに興味を持つかということだ。

予算にしか興味が無い相手であれば、予算計画をしっかり作り込んで
アナが無いようにしなければならないし、
技術力が高い相手であれば技術的な矛盾が無いようにしなければならない。

見せる相手により、見方が違うので、その見せる相手に隙を与えてしまうと、
その一点だけが集中砲火を浴び、再提出もしくは最悪の場合、
時間切れ不採用になってしまう。

まとめるテクニック

ライフハッカーの書評は、一般的な新聞や雑誌の書評とユーザー層が異なっている。
読者の対象を、「通勤電車の短い移動時間で、紹介された本を読みたいかどうか判断したいビジネスマン」として定義している。

その読者層となるユーザーは、書評に対して細部を求めてはおらず、
俯瞰的に読むための、「まとめるテクニック」を求めているのである。

「まとめるテクニック」とは次の5ステップからなるそうだ。

  1. 柱(テーマ)を決める
  2. 動機
  3. 全体像
  4. 対比
  5. 結論

これは、ビジネスシーンにおいても有効な構想の練り方であり、
そのままTPP(徹底的にパクる)しようと思った。

読ませる文章の書き方

ライフハッカーの書評は読みやすく、最後まで読み切ることが多い。

最後まで読み切ることができるのは、筋が通った記事になっていて違和感なく
読み進めることができるからだが、実はリズムを強く意識しているそうだ。

本書では、そのリズムを作るためのテクニックがいくつも紹介されている。

句読点の使い方、漢字と仮名の割合など例を提示されており、
どれも腑に落ちるテクニックである。

一文が4行も5行もある、長文がダラダラと続くメールを受け取ったことは無いだろうか?
また難解な漢字を、文章の中で見かけたことは無いだろうか?

それらが存在すると、途端に文章は読み手の興味を失うものになってしまうかもしれない。
印南さんの言葉を借りると、

リズム感のある文章は「音楽的」になり、”グルーヴ”感が生まれる。

のである。

”グルーヴ”感のある企画書、いつか書いてみたい。

書いてみてから修正する

最初の段階でパーフェクトを目指すのではなく、書いてみてから修正する方がいいのです。
そしてそれは、無駄な時間を短縮することにもつながっていきます。

テンポを軸に書き進めているときには、誤字や表現の矛盾など、思わぬミスもしがち。
でもそれは、あとから推敲すればいいのです。
「とにかく、書くこと」

この文章を読んで、最初に思いかえしたのが、パワーポイントで作る企画書。
ついつい、スライドマスター作りから始めてしまうのである。

そして、表で説明したいところでは表の色味を気にしてしまい、
どんどん時間だけが経ってしまう。

結局ストーリーがおざなりになったまま、中途半端な企画書が
できあがって後悔する事が多いのだ。

伝わる文章を書くためには、推敲の時間が必要となる。

推敲する時間を作るためには、さっさと頭の中にあるイメージを文章として
一気に書き上げてしまうのだ。

まとめ

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一般的な書評と言えば、このエントリーもそうだが、そのライターさんの
過去の経験や主張も踏まえて、書かれるものである。

しかしながら、ライフハッカーの書評には、印南さんの個人的な感想がほとんど出てこない。

それには理由があり、ライフハッカーという媒体の特性から意図したものだそうだ。

そして、私がそのライフハッカーをお気に入りのサイトとして、
更新する度にサイトを訪問して読み漁っているのは、
私自身がその定義された読者層ど真ん中だったから、
ということがはっきりと分かった。

ともすれば、ビジネスにおける文章はひな形を頼りにして
定型の文章を作ってしまうことが多い。

つまり、ひな形を使えばそれなりの文章ができるので、
相手が誰であろうと関係ない一定レベルの文章が作れるのである。

そうではなく、本書で紹介された技術を使い、誰が読むのかを想定し、
一気に書き上げた後、ミスタイプのチェックや話の流れをじっくり
推敲する時間に重点を置いて文書を書いていこうと思う。

 
 

印南 敦史 KADOKAWA/中経出版 2014-11-27
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