システム開発を行う際、まずはクライアントがなにを考えているか?の要望を聞くことから始まります。
この段階での、認識のずれは最初の小さなほころびでも、工程が後ろに行けば行くほど雪だるま式に大問題となる可能性があります。
そんなクライアントと話ができる少ない機会で、ノートを取りつつ相手の顔を見て話していませんか?
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最近は会議の中にパソコンを持ち込む人も多いです。
こちらが顔を見ていても、相手は自分のパソコンでメモを取りながら話しているのです。
そのため、こちらが身振り手振りで伝えようとしても、クライアントが何を考えているのか分からないことも多いです。
そんなときに会話の流れを集中させやすいのが、会議のテーブルの真ん中に1枚の紙を置くことです。
これまであまり意識せずにやっていたのですが、その得られる効果についてご紹介します。
目次
ヒアリングから、イメージを持ち込むことで要件のブレをなくせる4つの理由
意思疎通がしやすい。
紙は白紙の紙でもいいですが、ある程度こちらがイメージした画面が用意できれば、なお良いです。
Excelで簡単に表や図形を配置したものでも構いません。
その表や図形は絶対変更されるものなので、詳細を書く必要はありません。
なるべくシンプルに。
作るのにかける時間は5分もあれば充分です。
その図なり表なりがあるだけで、意思疎通がしやすくなります。
紙なので、どんどん書き込んでいくことができます。
書けば書くほど、違うことを書いていれば指摘がしやすいです。
その際も文字じゃ無く、矢印や図形を活用することをオススメします。
視線の先が1点に集中し、話がブレにくい。
会議の場では、座席位置はほとんどの場合向かい合わせの対面になります。
そうすると、視線は相手が自分を見て自分が相手を見るので、視線は交差します。
視線が交差していれば良いのですが、ずれが起こると、話しもぶれやすい傾向があります。
机に紙を置いておくことで、紙に双方の視線が集中するので話が他の方向に飛びにくくなります。
認識の齟齬が起こりにくい。
話を聞いて、メモを取っているだけでは、それぞれのメモは共有されていないため、どんどん認識の齟齬が起こります。
いわゆる言った言わないの水掛け論もここで起こります。
そして残念ながら、水を浴びせられるのは立場の低いベンダー側なんですね。
共通の紙を使うことで、そこに書いたものが正になるため、認識の齟齬が起こりにくくなります。
また、実際にプロジェクトが進みだした時にアレが足りないと言われても、紙に無いので立ち向かえる武器を持つことができます。
記録に残り、記憶にも残りやすい。
紙にどんどん書いて行くので、それがそのまま議事メモになります。
議事録として文書にするのは、決定事項とそれぞれが会議体後にやるべきアクションだけです。
良くある悪い議事録の例が、話したことをそのまま書いている議事録ですね。
一度テープ起こしか台本のような議事録を見たときは、ひっくり返りそうになりました。(笑)
この紙を議事録と一緒に共有できると、その時の会議の中での会話のやり取りを記憶に定着しやすくできます。
まとめ
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資料をプロジェクターに投影するだけでは、その資料を何も更新できないので、その会議体は停滞しがちになります。
よく投影した資料をその場で修正する人もいますが、打っているのを待つ間のストレス感が半端ないです。
あるいはホワイトボードを活用することもありますが、ホワイトボードを使うと、立って話しながら書くひとりの主役と、座ってホワイトボードを見つめる残りの傍観者という立場になりやすいです。
そういった点で、参加者全員がちょっと手を伸ばせば書ける紙を置いておくことは、全員が参加する場を提供する有効な手段であると言えます。
今日参加した会議は、前回開催した会議のやり直しのような会議体でした。
その会議体では、話を聞いただけで共有の認識ができていなかったのです。
簡単な図を書いて行くことで、一気に要件を固めることができました。
ヒアリングや要件定義など、要望を聞く場で認識の齟齬をなくすことは、のちのちの工程の出戻りを防ぐ重要なスキルです。
いくら議事録を書いて、仕様書に書いて、設計書に書いていても、実際に動いた瞬間にクライアントの心変わりは発生します。
その心変わりをなるべく小さくするために、文字だけでなく図や表を使いこなすことは要件を詰める上で大事だと考えています。